らぴゅたった

解像度が低いエコー機械でも…

不明熱・腹痛・発熱。肝膿瘍のエコー画像

寒い季節も終わってようやく私の大好きな気候へ🍀

この時期、田植え後の田んぼを見るのが大好きです🐝

一度、お庭でペットボトルに田植えしたことがありますww

少ししかお米にならなかったですが。。。(*ノД`*)タハッ

 

 

今回は肝臓の腫瘤です。

肝腫瘍のなかで、悩ましいのは転移性肝腫瘍などいろいろありますが、今回も悩ましい腫瘤像。

初検査では見落としてました。。。と

2回目の検査で動画を保存してくれてました。

84歳、女性

持続する不明熱でエコー検査依頼


肝膿瘍

肝左葉に境界不明瞭なやや低エコー領域として描出されます。

後方エコーは増強?してるかな

後日、穿刺のときに私が担当しましたが、前回よりも少しわかりやすくなってました。

⇓静止画ですがww

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肝膿瘍。肝左葉

肝膿瘍は右葉側に好発しますが、今回左葉側だったのと、まだ壊死が進んでなかったようで無エコー化してなく鑑別が困難でした。

 

次は右葉側。。。

61歳 男性


肝膿瘍2

cystic patternで後方エコーの増強もよくわかります。

 

 

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肝膿瘍2

54歳 女性


肝膿瘍3

肝表面に見られてので高周波プローブで内部を観察することができました。

ドロドロした感じが膿瘍っぽい。。

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肝膿瘍3

肝膿瘍のエコー像は成因や病期により様々で

肝実質との境界不明瞭。辺縁部やや高エコー。後方エコーの増強などがあります。

周囲は、ぼんやり明るい印象です。

経時的変化としては

solid pattern:膿瘍が成熟しておらず、内部は高エコー。腫瘤との鑑別が困難

  ⇊

mixed pattern:境界不明瞭な高~低エコー領域

  ⇊

cystic pattetn:音響増強効果を持たない無エコー域とその周囲実質の高エコー

と変化していきます。

 

自覚症状と一緒に考えるほうが膿瘍を疑えそうですw

 

単純CTでの肝膿瘍は辺縁不整の低吸収領域。内部に膿汁があれば強い低吸収域と、炎症波及による周囲の軽度低吸収域が見られます。

 

不明熱での検査依頼の時に、肝膿瘍も念頭において検査してみてください~*˙︶˙*)ノ♡

 

 

【肝膿瘍】

肝臓に膿瘍が形成された感染性の病態

自覚症状としては、発熱・悪寒・腹痛・吐き気・嘔吐などがあります。

白血球やCRPの上昇、軽度肝障害が見られます。

 

細菌性(化膿性)

・胆管炎に引き続き発症

・腹腔内の感染症や腸管感染症に続発し門脈をへて肝内へ

・外傷、肝損傷部に感染を起こし生じる

・悪性腫瘍の治療後        など。

リスクファクターとしては、糖尿病・肝移植・免疫抑制(化学療法やHIV

 

起因菌として多いのは

Klebsiella pneumoniae:海外渡航・糖尿病・腹腔内感染・悪性腫瘍

Klebsiella pneumoniaeは肝膿瘍内に液面形成が見られることがあります。ガス産生菌なのでガスを伴うこともあります。

Escherichia coli:糖尿病・胆道系疾患

Enterro coccus spp:糖尿病・腹部外科手術・悪性腫瘍

細菌性肝膿瘍は、敗血症、細菌性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)に移行することがあるので、早期の発見と治療が大切です。

抗生剤とドレナージでの治療がおこなわれます。

 

アメーバ性

赤痢アメーバの経口感染で、アメーバ腸炎の約5%に発症する門脈を経由して肝内に到達し膿瘍を形成する。赤痢アメーバが生息する海外への渡航者に多くみられる。

同性愛者(男性)に発生することも報告されている。

肝右葉に比較的大きな(10㎝ほどの)1個の膿瘍を形成する。

アメーバ性肝膿瘍では、メトロニダゾール(フラジール)を投与

診断には血清抗体価を調べるのが有用です。