89歳女性
発熱にて来院
単純CTにて肝内に腫瘤あり。
転移?膿瘍?鑑別のためエコー依頼
すぐ、肝腫瘍よりも胆嚢の方が気になっちゃいました
肥厚した胆嚢壁をみたら壁の肥厚は限局性か、全周性か、平滑か、不整か。
壁内に嚢状エコーやコメット様エコーがみられるか。
など観察するように言われてますが、今回の画像は広茎性で径が2㎝以上あるので胆嚢癌を考えます。
胆嚢の拡大画像です
肝腫瘤の拡大画像です
胆嚢は不整な壁肥厚で、肝内の腫瘍には血流が見られました
半年後…
肝腫瘍の数は増え、胆嚢は腫瘍で埋め尽くされて内腔がない状態へ
肝との境界はさらに不鮮明となっています。
胆嚢癌は、隆起型・壁肥厚型・混合型に分けられます。
壁肥厚型は、胆嚢壁内に浸潤性に発育するので壁肥厚が見られます。壁の層構造は不明瞭となり、内腔側の壁の表面が不整化、厚みも不均一になるそうです。
今度は49歳男性の胆嚢のエコー像です。
拡大した動画しかなく分かりにくくてすいません( ^_^ ;)
周囲への炎症の波及が見られ、境界は不鮮明です。
腹水も見られます。
摘出後の病理結果は
Subacute cholecystitis with ulcer
胆嚢粘膜の上皮の大部分は脱落。所々に化生上皮や固有上皮が見られます。
潰瘍と慢性炎症細胞浸潤やヘモジデリンを伴った肉芽組織を認めます。
悪性所見はありません。
エコーだけで判断するのは難しいですね💦。
非腫瘍性疾患には、コレステロールポリープ・過形成ポリープ・胆嚢腺筋腫症・炎症性ポリープ・腫瘍性病変には腺腫・胆嚢癌などがあります。
10㎜以上のコレステロールポリープでは内部エコーが実質様エコーを呈してくるので、典型的な所見が得られなくなります。
コレステロールポリープは、胆嚢粘膜の固有筋層に増殖した脂質を貪食した泡沫細胞が増殖し、ポリープ状になったもので、エコーレベルは高く、表面顆粒状(粒状・乳頭状・桑実状)を呈しコメットエコーが見られることが多い。
胆嚢体部や頚部に好発する
茎は細く描出できないことが多くポリープが浮遊しているように見えるときもある。
大きくなるにつれエコーレベルは実質様を呈し、腺腫・癌との鑑別が困難となることが多い。
コレステロールポリープの中心部に嚢胞様変化として眼球様所見が認められることがあるそうで、この無エコー域は組織学的に分泌能を有する単層の円柱上皮により裏打ちされた大きな腺管腔で、コレステロールポリープの特異的所見と報告されてました。
~明らかな良性所見~
・5㎜未満で有茎性
・5㎜以上10㎜未満で点状高エコーを有する
・広茎性で小嚢胞構造やコメット様エコーを有する
鑑別困難は:5㎜以上・10㎜未満
悪性の疑い:10㎜以上または広茎性で付着部の層構造の不整あるいは断裂を伴う
単純CTでコレステロールポリープは描出されないことが多い(➝foamy cellが周囲の胆汁の成分を含み、胆汁と同等のCT値となる為)が胆嚢癌・胆嚢腺腫では淡い高吸収域として描出される。