転移性肝腫瘍(転移性肝癌)は肝臓以外の臓器にできた癌が肝臓へ転移したものです
肝腫瘍の中で頻度が高く、肺転移に次ぐ転移の好発部位になります。
径門脈性転移が起こりやすい消化器系の癌では 肝臓が転移先として最初の標的になる臓器と言われています。
血行性転移は 胃癌・大腸癌・膵管癌(径門脈性)
乳癌・腎細胞癌(径肝動脈性)
直接浸潤は胆道系悪性腫瘍
によるものが多いと言われています。
今回は大腸癌術後の肝転移のエコー像です
無数の類円形の高エコー腫瘤を認めます。腫瘤辺縁に低エコー帯が見られます。
肝静脈は圧排され走行が不整に見えます。
消化管原発の肝転移は等~高エコーに描出されることが多いと言われています。
肝臓に悪性を疑う腫瘤を発見したら、原発なのか転移なのか鑑別しますよね。
腫瘤が複数あれば転移なのかなぁと思いながら検査していきますが、他の悪性疾患が過去にあったという情報は大切です💦
背景肝にびまん性の疾患があったり、肝炎ウイルスが陽性の場合は原発性肝細胞癌の可能性が…とか考えて検査します。
でも わからない時は他検査(造影CTなど)にすぐお任せしてます笑
逆にCT検査をして鑑別できないからエコーを。という場合がごくまれにあるので
その時はいろんな情報を集めてエコーの画像所見もしっかり記入して可能性が高いであろう疾患を記入してます。
【転移性肝腫瘍(転移性肝癌)】
多発性の肝転移の場合には手術適応はなく、持続動注療法や全身化学療法が第一選択の治療法になる。
肝動脈と門脈の二重支配を受けているため、血行性転移は大腸・直腸・胃・膵臓などからの経門脈性肝転移と
腎・乳腺・肺・甲状腺・子宮・卵巣・膀胱・皮膚(悪性色腫)などからの経動脈性肝転移に大別される。
その他、進展様式として リンパ行性・直接浸潤がある。
肉眼像は、結節型・塊状型・肝門・グリソン型・連続浸潤型・顕微鏡型の5型に分類される。
~結節型~
典型的な肝転移像。経動脈性(肺癌・乳がん)と経門脈性(胃癌・大腸癌・膵癌など)に大別される。画像上は単発あるいは多発の類縁形腫瘤として描出される。
乳癌や胃癌、前立腺癌では栗粒大の小転移巣がびまん性に見られる。
壊死:転移性肝腫瘍の最大の特徴は比較的早期から中心壊死(central necrosis)を伴う点で、中心部に壊死・辺縁部に腫瘍が存在し同心円状の構造を示すことが多い。
エコーでは中心部の高エコーと辺縁部の低エコー帯によってブルズアイサインを示す。
また、腫瘍が大きくなると低あるいは高エコーを呈する腫瘍の外周に低エコー帯が認められることが多い。
肝細胞癌で認められるハローは組織学的には線維性の被膜に相当するが、肝転移で認められる周囲低エコー帯は組織学的に明らかな線維性の被膜構造は存在せず、多くは腫瘍に圧排された肝実質と一部は腫瘍辺縁部を見ているものと考えられている。
単純CTでは病変全体が軽度低吸収を示し、特徴がつかめないことが多い。
石灰化:大腸癌・直腸癌・胃癌などの消化器系の粘液産生腺癌の肝転移巣に生じやすいが、甲状腺癌(髄様癌)・乳癌・腎癌・卵巣癌・などでも認められることがある。
化学療法に伴い転移巣に石灰化が生じることはしばしばみられる。
線維化:消化器系の腺癌(胃癌・大腸癌・膵癌・胆嚢癌・胆管癌)からの肝転移は壊死部に線維化を伴うことが多い。繊維成分の豊富な壊死部が肝表面に存在すると、癌臍を形成し肝表面が陥凹する。
粘液成分:粘液産生の豊富な粘液癌は腺癌の一種で、その肝転移は特徴的な画像所見を示す。エコーでは高エコーを呈し血管腫との鑑別が問題になる。
単純CTでも明らかな低吸収を示し、肝嚢胞や肝血管腫と類似する。
MRIでもT1強調像で明瞭な低信号、T2強調像では著明な高信号を示し、嚢胞や血管腫が鑑別の対象となる。
粘液性癌の肝転移との鑑別は造影検査が不可欠となる。
液化壊死:中心部が嚢胞状を呈する。平滑筋肉腫・腎癌・食道などの扁平上皮癌の肝転移があげられる。壊死部が広範な場合には充実部が認識できず肝嚢胞と誤認することがあるので注意。充実部の一部が乳頭状を呈する場合には肝原発の嚢胞腺腫や腺癌が鑑別の対象となる。
~塊状型~
一葉を占めるような巨大な単発性のこともあるが、多数の転移巣が癒合し塊状を呈する場合が多い。腫瘤の辺縁が分葉状を呈し、エコーではクラスターサインとして描出される。腫瘤内部に取り込まれた門脈枝や肝静脈枝が狭窄像として描出されることもある。
~肝門・グリソン浸潤型~
転移病巣が肝門部から連続性にグリソン鞘に沿って浸潤。
胆嚢癌や肝胆道系腫瘍では肝十二指腸靭帯を介して肝内グリソン鞘に直接浸潤する。
悪性リンパ腫がグリソン鞘に主座をおくこともある。
~連続浸潤型~
隣接臓器の癌が連続的に肝内に浸潤し腫瘤を形成する。
肝床部から肝内に浸潤する胆嚢癌がその代表で、他に胃・食道・右副腎・右腎・後腹膜の悪性腫瘍でも認められる。腹膜播種をきたした卵巣癌や精巣腫瘍が肝表に波状の陥凹像を呈することがある。胆嚢癌では連続浸潤に加えて、左葉内側区や右葉前下区に胆嚢床から離れるにつれて小さくなる肝内転移を伴うことがある。これは胆嚢静脈が直接肝内門脈枝に還流しているため、その還流領域である内側区域や右前区域に転移する傾向が強くなるためと考えられている。