らぴゅたった

解像度が低いエコー機械でも…

腎の高エコー腫瘤。急性巣状細菌性腎炎(AFBN)の超音波画像。発熱

急性巣状細菌性腎炎(AFBN)Acute focal bacterial nephritis は

 

膿瘍形成を伴わない腎実質の炎症性疾患です。

 

 

動画の症例はインフルエンザが流行っている時期に発熱で来院

不明熱でエコー検査依頼。

30代 女性

インフルエンザの検査が陰性とはいえ、密室で10分も一緒なのは不安な私w💦🥺本当はインフルエンザじゃないのー??と思いながら……

特に熱の原因はわからないまま、右腎の皮質中央に高エコーの腫瘤を発見

⇓画像になります。

 


AFBN I20140305161020343 1

 

採血では、白血球・CRP 高値。尿検査:異常なし。

 

高周波プローブでも描出可能な深さだったので、リニアプローブに持ち替えてみました

何となく輪郭がわかる程度…w

腎から少し突出してないとわかりにくいですね💦

 


AFBN拡大 2

 

【急性巣状細菌性腎炎(AFBN】

AFBNは液状化を伴わない腫瘤性病変で、腎盂腎炎から腎膿瘍の前段階と言われています。小児の不明熱の原因のひとつでもあります。

腎実質に巣状に細菌感染を生じ、まだ膿瘍化(液化)していない状態

腎盂腎炎➝AFBN➝腎膿瘍といった経過をたどるようです。

腎盂腎炎からではなく、血行性に細菌感染を起こして発症することもある。

 

尿中白血球の増加や尿培陽性は少ない:尿所見の乏しい

エコーでは腎実質内に高エコー腫瘤として描出されカラードプラにて無血管領域として描出される

病気を知っていたら、このエコー画像を見たら疑うことができますが、知らないと ただ腎臓に高エコー腫瘤がある?で検査終了してしまうかもです💦

エコーの画像はある程度は誰にでも描出できますが、知識があるか ないかによって、画像の取り方、所見の書き方が大きく変わってきますので、知っていると診断に結びつくような症例は勉強しておきたいですね🍀

 

 

 

造影CTでは 病変部位は low density area として見られる

 

 

※CT所見の違い

腎盂腎炎:造影早期(動脈相優位あるいは皮質相)に巣状の造影低下域を認めることがあるが、造影後期(平衡相)では周囲正常腎実質部と同様に造影される

AFBN:巣状造影低下域は平衡相まで続くが、造影効果は完全には消失しないで残存する。

腎膿瘍:病巣の一部にすべての相でまったく造影効果を示さない(液化のため)

低吸収の部分が存在する。同部は単純CTでも正常腎実質部より低吸収のことが多い。

 

 

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AFBN

 

不明熱に依頼時には腎臓の炎症性疾患の除外を✨

 

 

 

 

 

 

 

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超音波ガイド穿刺の基本。エコー下穿刺の初心者、中心静脈穿刺。IVH中心静脈カテーテル

 


皆さんの施設では穿刺時にエコー(超音波)を使用してますか?私の施設ではDrにより最初からエコーを準備して始める時と、フリーハンドで困難なときに急遽エコーを使用するときがあります☺

数回失敗後にエコーで呼ばれたときは、傷や麻酔や穿刺後の血管損傷などで画像の描出が不鮮明になってしまうので正直、最初から呼んで欲しい…と心の中で思ってます笑

 

 

・確実な穿刺のために

安定した画像を描出する技術が必要です

超音波検査をしている人に画像を出してもらいましょう。

自分で描出するのもいいですが、もっといい画像が見えるかもしれません笑

 

エコー機械の位置、画面に背を向けてないか、患者と穿刺施行者の位置関係に無理な体制はないか等、自分が実施しやすいような環境でしましょう。

 

よく、エコー画像を描出する人がDrに遠慮して首が痛くなるような体制で実施している人を見かけますが、適した画像を描出し施行者へのアドバイザーにならなければなりません。ただ描出するだけではなく、周辺の組織との位置関係、深さなど穿刺施行者へできるだけ多くの情報を提供できるようにリアルタイムで画像をみたり機械を操作できる位置で臨みましょう。

 

・局所麻酔時の注意

決して空気を注入しないこと。その後の穿刺が困難になります。

 

超音波(エコー検査)では空気が白い画像で描出され、下にある目標物が見えなくなります。麻酔時にDrに空気を入れないように伝えてください。よく、麻酔追加時に勢い余って空気まで注入することがあります笑

 

麻酔液と入れると皮膚に厚みができ目標物までの距離が遠くなります。画像の鮮明度もやや落ちて見えにくくなります。また目標物が静脈のときは麻酔で肥厚した周囲組織により、静脈が圧排され つぶれ、穿刺が難しくなることもあるので注意してください。

 

・穿刺針は次第に曲がる

穿刺針の先端は斜めにカットされており、刺入時には針先端に切断面と反対方向に直行するベクトルが作用し、針は次第に屈曲し目標からずれます。

先端のカット方向を走査面と並行にして穿刺すると針が走査面外にずれて針先端が途中で画面より消える。針先端のカット方向がプローブの走査方向と直行する向きで穿刺することを注意してください

目標が深ければ曲がりやすく、アタッチメントをつけているにも関わらずエコー画像に穿刺針が描出されないなどプチ事件に発展します笑。肝穿刺時などでみられます。

 

【中心静脈穿刺】

CVカテーテルやダブルルーメンカテーテルをエコー下で挿入

内頸静脈は深く刺しすぎると鎖骨下動脈や肺が存在し危険です。針の長さを確認して刺す前にどれくらいまで刺しても大丈夫かを想像してください。また内側に向けて刺さないこと。甲状腺動脈などに刺さります。

先にエコーで見といて!マジックで印つけといて!と言われても➝首の角度が変われば血管の走行も変わるので危険です。

静脈が虚脱してる時は、足元をあげたり頭の位置を下げたり、傾かせたりして理想的な大きさの静脈になるか検討してみましょう。

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頸部の右内頸静脈と総頚動脈のエコー画像にです。血管はエコーでは黒く映ります。

内側に動脈や甲状腺がみえます。画像を見れば内側に針が向かっていく危険性がわかりますね。

 

 

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右はプローブを押さえた時の画像です。浅い位置にある静脈は少しの圧排で変形します。ドプラ画像が使えないときは圧排することによって静脈を確認できます。

血管の位置と周りの組織の位置を確認してから、麻酔、穿刺になります。

短軸穿刺では針を追うことが難しく、長軸穿刺では狭い走査線内で針を見なければいけません。できるだけ小型のプローブを使用し長軸走査で針全体を確認しながら穿刺するのがいいと思います。

 

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縦に走査した時の血管の見え方です。静脈の下に動脈が描出されてます。このようなコースでは静脈を貫通した時に動脈の刺さって危険なので、できるだけ動脈が描出されてないコースを探します。なかなか理想的に行かないんですけどね。

 

 

 【長軸穿刺】

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 こんにゃくを使用した練習穿刺です。こんにゃくの種類でエコー画像が違います。内部が粗くとても見にくいこんにゃくもあるので購入時に数種類検討してみてください。

 

空気や液体を注入してどのような画像になるか見たり、針の角度がどれくらいで刺すとどこの深さになるのか、自分には縦走査の穿刺が向いてるのか、横走査の穿刺が向いてるのか等、再確認できます。

 

 

 

長軸穿刺ではプロ―ブの中心がエコーでの画像描出部位になるので、黒の点線上に針が通るような向きで穿刺すると画像に穿刺針が映ります。穿刺位置は中央なのに向きが中心上を通ってないと画像で見ることはできません。

また、プローブを持つ人は、プローブが徐々にずれないように、患者と持ち手の一部をくっつけておくといいです。私は小指をくっつけてます。こんにゃくもよく滑るので同じ位置での固定は難しいです笑

 

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 プローブのすぐ近くから穿刺してしまうと、針で皮膚の表面が押され、穿刺時にエコーの画像が押された皮膚の部分だけ見れなくなります。少し離した位置で穿刺するとエコー画像は欠如しなくて済みます。

 

穿刺時、静脈の前壁 が押されたように見え静脈は変形します。針が前壁を貫くと形状が戻るので血管内に入ったのがわかります。

 

 

 

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GWを挿入するとき、針先と後壁との間に距離が必要でGWが後壁に当たり挿入しにくい時があります。穿刺針をほんの少し引いて持ち上げるようにすると挿入しやすくなります。

GWが奥まで進んだらIVHカテーテルを通して固定✨

 

慣れるまで、長軸穿刺のほうが確実な印象があります。

短軸穿刺では、針の先端を探すのが難しく、プローブの直下の標的との位置関係での穿刺角度などに熟練した技術が必要になってきます。

自分でプローブを持って穿刺する時は目標との位置関係が把握できるので失敗は減ると思います☺

 

 

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腹部エコー。小腸の拡張・浮腫。腹水。小腸アニサキス症のエコー像。小腸の浮腫と腹水。

アニサキス寄生虫(線虫)の一種です。

寄生部位は食道から直腸までの全消化管で胃の罹患が圧倒的に多い(93%程)

アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています☺

アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。

消化管アニサキス症は虫体の中間宿主であるサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカサバ等の魚介類を生食したことで発症する消化管幼虫移行症で、感染源はサバが最も多いと言われています💦

 

海産魚介類の生食を避けること、あるいは加熱後に喫食すること(60℃で1分以上)が確実な感染予防の方法となります。また冷凍処理(-20℃,24時間以上)によりアニサキス幼虫は感染性を失うので、魚を冷凍して解凍後に生食することは感染予防に有効です。 ・冷凍: (-20℃で24時間以上冷凍) ・加熱:(70℃以上、または60℃なら1分)

 

 

 

 

 

小腸アニサキスは4~8%程度で

生食から発症までの時間は胃アニサキス症が約6~9 時間なのに対し、小腸アニサキス症は数日経過してから発症することが多いとされています☺ 臨床症状は,腹痛,嘔気,嘔吐,腹部膨満感などで、本疾患特有の症状はありません。 臨床経過は感作の状態により、緩和型あるいは劇症型のどちらをたどるか決定され、初感染の場合自覚症状はほとんどないと言われます。感作のある場合はⅠ型アレルギーが関与する激しい症状を伴います。劇症型の本体は即時型過敏反応であり、抗原抗体反応で誘導されたchemical mediatorにより消化管平滑筋の激しい攣縮が発生し,激しい腹痛の原因となる。毛細血管の透過性と 好中球,好酸球の浸潤により局所に蜂窩織炎を合併することもあるそうです💦

CTが最も有用であるとされており、小腸の限局的な浮腫像が典型的です。

 

小腸アニサキス症の早期診断として

・発症前数日間に鮮魚を生食している

・腹部単純X 線撮影での小腸ループ像と鏡面像を認める

・腹部超 音波検査での腹水貯留を認める,

・腹水が多い割に, 全身状態が良好で腹部の理学的所見も軽度

・小腸粘膜下のトウモロコシ様の浮腫性肥厚corn sign

・内部に線状の構造物(アニサキス虫体)を確認する

 

などなど…。

 

今回は30代女性、何となくお腹に違和感がある。との事でエコー検査。

痛くもなく、少し張った感じらしく元気な方でした。

全身状態がいい割には腹水が多く驚きました。

 

🍀エコー画像です 🍀


コーンサイン

https://youtu.be/nz7sjESFhXw

 

小腸の壁は浮腫のため、トウモロコシみたいに見えます。一度見たら忘れない症例かなぁと思います。

 

1週間ほどで虫体は死亡するため,腸管の減圧や抗アレルギー剤,抗炎症剤,副 腎皮質ホルモンなどの薬物療法が有効です🙆✨

 

アニサキス

魚介類の生食後数時間して、激しい上腹部痛,悪心,嘔吐をもって発症するのが胃アニサキス症の特徴で、人体症例の大半がこの症状を呈する(劇症型胃アニサキス症)。食歴に関する問診と臨床症状から劇症型胃アニサキス症が疑われる場合は、胃内視鏡検査で虫体を検索し(虫体1匹の穿入で発症することも多い,)検出虫体の形態と遺伝子配列から確定診断する。しかし健康診断時等の内視鏡検査で 胃粘膜に穿入する虫体が見つかる無症候例もある(緩和型胃アニサキス症)

予防・治療

加熱や冷凍以外の方法として、新鮮なうちに魚介類の内臓を摘出するなどの工夫も感染予防に適用できる。内臓に寄生する幼虫が漁獲後に筋肉へ移行することもある。なお醤油,わさび,酢がアニサキス症の予防に有効ではないかと期待されてきたが、料理で使う程度の量や濃度、処理の時間では虫体は死なない💦

治療法に関しては,胃アニサキス症では胃内視鏡検査時に胃粘膜に穿入する虫体を見つけ,これを鉗子で摘出する.腸アニサキス症では対症療法が試みられ,場合により外科的処置が施される.なお現在のところ,幼虫に対する効果的な駆虫薬は開発されていないそうです💦💦

 

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