超音波診断装置の急速な進歩により、最近は『虫垂炎疑い』でのエコー検査が普通に依頼されるようになってます。
でも、いくら装置が優れていても、ふくよかな(控え目)な人では描出に苦戦したり、診断に必要な画像が得られなかったりします。(´。・д人)シクシク…
圧痛がひどい人もプローブが当てにくいため回盲部との距離が遠くなり、Drの期待に沿えないこともありますよね💦
2014年以降『虫垂には免疫に重要な役割がある。』ということで、それまでさっさと摘出されていた虫垂は『できれば温存』という方向へと変化していきました。
カタル性虫垂炎などは保存的治療へ…と。切除の回避が検討されるようになってきました。
手術適応については、施設によって異なるとおもいますが
- 腹膜刺激症状が強い
- 虫垂の短径が10mm以上ある
- 糞石が確認される
- 穿孔や周囲膿瘍が確認される
などがあげられます。
虫垂炎の再発率は、糞石のない場合26%ほど、糞石がある場合では72%ほど
との事で、穿孔の危険性も高まるため切除といった方向になってきます。
虫垂壁筋層の壊死を伴う、壊死性虫垂炎も穿孔の危険性があり、穿孔性虫垂炎とともに緊急手術の適応となります。
複雑性虫垂炎では発熱、CRPの上昇、虫垂周囲の液体貯留などの評価で緊急手術となるため、周囲の液体貯留の有無の記載を忘れずに。
女性の場合、ダグラス窩に生理的腹水が認められることがあり、判断に迷うかもしれません💦
では今回の画像です⇩
今回、虫垂の摘出はされず経過観察となりました。その後は炎症もおさまり数か月が経っています。憩室炎からの炎症の波及なども考えられます。
【虫垂は腸内細菌のバランスを保つ】
虫垂のリンパ組織は大腸に動員されるIgA陽性細胞を生産する場で、腸内細菌叢のバランスの維持に極めて重要な抗体と判明し虫垂が無くなると大腸の腸内細菌叢のバランスが崩れてしまうと言われています。
腸内にはおよそ300種類の腸内細菌が100兆個以上いると言われて、互いにバランスを取りながら、腸内の抵抗力を高めたり、消化吸収を助けるなどの役割を果たしてくれています。虫垂のリンパ組織はバランスを崩そうとしている細菌を察知し白血球を使って攻撃を行います。
虫垂は腸内の免疫機能の維持に重要な役割をはたすとともに、食中毒の防止や潰瘍性大腸炎、クローン病の発症抑制などにもできるだけ温存するほうが望ましいと言われてるそうです。