腹痛での検査依頼の半分以上は腸管に原因があるので、肝・胆・膵・脾・腎・膀胱・前立腺・婦人科をルーチンで描出できるようになったら正常な腸管をみる練習を…
(-ロдロ-)ゞ
異常な腸管に気が付けるようになってきます🍀
(*`・ω・´*)ゝカシコマリ☆
今回は腹痛での検査依頼。
仕事終わりに嘔吐と数回にわたる下血があり入院となった方です。
入院後3日目の腹部エコー検査です。
虚血性大腸炎のエコー画像になります。
横行結腸~下降結腸、S状結腸に壁の肥厚とエコーレベルの低下が見られます。
ドプラによる血流シグナルが少し確認できます。
虚血性大腸炎のエコー所見は
〈粘膜下層の浮腫性の低エコー性壁肥厚像〉
大腸癌でも壁の肥厚とエコーレベルの低下が見られますが、範囲が広い事や症状が違います。
【虚血性大腸炎】
大腸の栄養血管が可逆性に虚血となることで生じ、腹痛・下血などの症状を引き起こす疾患です。一過性の大腸粘膜の虚血により、びらん・潰瘍などが起こり、一過性型と狭窄型があります。
一過性型:粘膜、粘膜下層に病変がとどまり、浮腫、出血が主体。粘膜が脱落し潰瘍が形成される。1~2週間ほどで回復。
狭窄型:炎症が高度で固有筋層まで達し、その後、筋組織が線維化し腸管が狭窄。
診断基準として
・腹痛・下血で急激に発症
・直腸を除く左結腸に発生
・抗菌薬の未使用(必須)
・糞便あるいは生検組織の細菌培養が陰性(必須)
・特徴的な内視鏡像、X線像とその経時的変化
・特徴的な生検組織像
と記載されています。
大腸の栄養血管が虚血になる原因としては…
・心原生
・微小血管の攣縮
・細動脈硬化
・腸管内圧亢進
・腸蠕動異常
虚血性大腸炎が左側結腸に多い理由として…
・脾湾曲~S状結腸は側副血行の発達が限られているため虚血に陥りやすい。
・腸管支配動脈の分布から、脾湾曲部のグリフィス点・S状結腸~直腸移行部のズデック点で血流が疎となる部位が存在するため
・便秘により腸管内圧が上がる。
・便で腸が圧迫され血液の流れが悪くなるため。
・排便時のいきみによる腸管内圧の上昇。
などと記載されています。
血管壁がボロボロになるような基礎疾患を持ってる人は発症リスクが高まるということですね( ´•_•。)💧
透析中の急な血圧低下も原因になるそうです。
MEDICAL TECHNOLOGY(メディカルテクノロジー)消化管エコーの基礎とテクニック 2020年9月号 48巻9号[雑誌](MT)
不可逆性に血管が閉塞してしまうと、腸管壊死がおこるため緊急手術が必要となります。虚血性腸疾患、急性腸管虚血(非閉塞性腸間膜虚血・腸管膜動脈閉塞症・腸間膜静脈血栓症)➡腸管が壊死や穿孔してしまう