らぴゅたった

解像度が低いエコー機械でも…

微熱が続く。コロナかも?発熱外来受診。歯茎からの出血。あざ。白血病かも

新型コロナ、COVID-19の流行のため病院では発熱外来を設け対応しています。

今回、発熱外来に30代の方が来院されました。来院時の体温は37.4℃。

一か月前より微熱が続き、2週間前から紫斑。歯茎からの出血が目立つようになってきたとの事。

外来にて採血、採血結果では白血球が2000/μLと減少。ヘモグロビン10.7と貧血ぎみ。血小板は1.6万/μLと著明な減少が見られました。

白血球分類の依頼はありませんでしたが、目視で確認しました。

白血球自体が少ないので、多くは観察できませんでしたが全体的に異型リンパ球はチラホラ見られ、柔らかい細胞があるイメージでした。他の臨床検査技師とも一緒に確認しましたが明らかな芽球は見られず、Drにも血液内科に紹介した方がよさそうですが、原因は不明でした💦と話しました。

 

紹介先からAPL(急性前骨髄性白血病)との報告でした。

 

 

急性前骨髄性白血病(APL)

急性骨髄性白血病(AML)の一種で、AMLの約10%を占めると言われています。

30~50歳代に多い。

FAB分類ではM3

特徴的な染色体転座t(15;17)(q22;q12)

PML-RARAが形成されることにより、血球分化が前骨髄球の段階で停止する。

 

病状の進行が速いため急に症状が出現する場合が多く、早期の診断と速やかな治療開始が重要です。

 

前骨髄球はトロンボプラスチンという血液の凝固に関連する物質と似た性質を持っているため、他の急性白血病に比べ非常に出血を起こしやすい特徴があります。

 

DIC(播種性血管内凝固症候群)を起こしやすいので凝固検査で評価します。

 

APLの治療成績は、ATRA(オールトランス型レチノイン酸)が導入されてから飛躍的に向上したそうです。レチノイン酸は活性化ビタミンAで 他の抗白血病薬のような強い毒性もなく患者さんに与える苦痛が少ないそうです。
 
末梢血では汎血球減少を示す例が多い。
末消血液中にアウエル小体を有する特徴的なファゴット細胞がみられることもある。
 

f:id:Rapyutatta:20200825082837j:plain

アウエル小体➡

 

再度、末梢血液像を見直しましたが、発見できませんでした

標本を数枚つくっておけば良かったなぁと思ってます💦

私たちのような小さな病院では診断まで出来ないことが多くありますが、適切な判断での他院紹介ができるように知識を増やしていかなければと思います。