膀胱は腹部の下にあり、腎臓で作られた尿をためておく臓器です。
蓄尿機能と排尿機能があり尿路上皮(移行上皮)という粘膜でおおわれています。
膀胱癌の90%以上が尿路上皮癌で、まれに扁平上皮癌や腺癌の場合があります。
腹部エコーのルーチン検査の依頼時にはどの臓器まで見てますか?
私の施設では、肝・胆・膵・脾・腎・膀胱・前立腺(婦人科)・腸管です。
膀胱は尿が溜まってたらよく観察することができるので、普段確認されてない方も是非描出してみてください\( 'ω' )/
膀胱腫瘍
膀胱内に隆起性病変を認めます。
カラードプラを何となくかけてみましたw
病変部に小石灰化の様な高エコーが見られ、カラーはクラッタによるアーチファクトと思われます。
表在性乳頭状膀胱癌になります。
膀胱腫瘍が大きくなると水腎症の原因にもなります。
⇊こちらは右腎の水腎症の原因で、尿管の拡張も見られます。
初期には無症状でも、これくらい大きくなってくると多くの症状が出てきます。
小さいうちに発見して治療へ。。。(*ᵕᴗᵕ)ウンウン
こちらは、内科のルーチンでたまたま発見した乳頭癌になります。
無症状でも膀胱を描出するだけで腫瘍が目につくので、いつものルーチンに5秒ほど膀胱を描出する時間を。。。
また、患者として腹部エコー検査を受けるときは、尿をある程度ためておく事が大切です〜*˙︶˙*)ノ♡
最後⇊膀胱内の血腫です
【膀胱がん】
筋層非浸潤性(表在性癌・上皮内癌)筋層には浸潤していない癌
表在性癌はカリフラワーやイソギンチャクのように隆起し突出しています(乳頭癌)。エコーでしっかり見ておきたい癌です。
通常、治療はTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で行われます。
表在性癌は膀胱内に再発しやすいという特徴があります。
上皮内癌は上皮内膜が癌化した状態です
膀胱粘膜壁に沿って癌が存在しているため、エコーでは確認できないことがほとんどです。腫瘍の範囲が不明なことが多いため、結核予防ワクチンであるBCGによる膀胱内注射療法を行うことがあります。副作用として発熱、血尿、頻尿、排尿時痛、倦怠感、敗血症、肝障害、アレルギーショックなどがあり、免疫状態の低い方、重度な結核患者の既往がある方には禁忌です。
筋層浸潤性癌
膀胱の筋層に浸潤した癌。膀胱壁を貫いて、壁外の組織に浸潤したり、リンパ節や肺・骨に転移を来す危険性があります。
転移性癌
膀胱がんが転移しやすい臓器は、リンパ節・肺・骨・肝臓などがあります。
膀胱癌の症状は肉眼的血尿が最も一般的な症状です
頻繁な尿意。排尿時痛。膀胱炎症状を来すこともあります。
60歳以上の男性に多く、リスク要因は喫煙です。(女性の3倍)
その他の要因としては、ナフチルアミン・アニリン色素フェナセチン含有鎮静剤・シクロホスファミド・ベンジシン・アミノビフェニルへの暴露。
(染料や化学薬品を扱う職業、ゴム・皮革・織物・色素工場で使用する化学物質)
などがあるそうです。
エジプト、ナイル川流域では、ビルハルツ住血吸虫症がリスク要因である可能性が高いと言われているそうです。懐かしの寄生虫学💦終宿主の膀胱静脈叢に寄生します。
膀胱壁は内側から
尿路上皮(移行上皮)粘膜➝粘膜下層➝筋層➝漿膜といった層構造です。
膀胱癌の約90%以上が内側の尿路上皮粘膜から発生します