らぴゅたった

解像度が低いエコー機械でも…

小児の腹痛。重複直腸内膿瘍の超音波画像。


私の施設では小児科もあり、小児の腹部エコーの依頼も少しあります。

 

 

 

小さい子の検査って、親にとっても心配ですし大変ですよね💦

私は、検査時に泣きそうな子の場合、母親に抱いてもらった状態で検査をしています。

それでも1割くらいの子は泣いちゃいますけどね(´・_・` )

今回は

9/12 発熱、腎~尿路のチェックにてエコー検査依頼 1歳9か月女児   

  

9/11 (前日)の尿検査では尿量なく定性のみ実施。

混濁あり。白血球3+。潜血2+。ケトン体1+。

採血:CRP10.27㎎/㎗。白血球17200/μℓ  ともに高値を示していました。

 

8月末より微熱があり、一旦軽快。

9/9に39度の発熱が出現9/10に他院を受診。

症状が改善しないため当院受診。

 

まだよくお喋りができない年齢でしたが、「ここ、ここ、いたい、いたい」と下腹に限局した痛みを訴えているような印象で、小さい子供の痛みの訴えにしては、場所を明確に伝えてくれたので、何か痛みの原因が発熱と関係があるのでは?と検査を進めることができました。

 

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膀胱背側の膿瘍

膀胱を観察中に膀胱背側に4㎝ほどの何かを発見

 


直腸重複1

 

よく見る膀胱憩室のように、膀胱との明らかな連続性は見られず。

でも、膀胱壁には接していて由来が不明でした。


直腸重複2

 

エコーの所見としては

膀胱背側に接し、径4㎝×2㎝ほどの混合パターンを呈する腫瘤を認めます。

内部不均一で低エコー内には点状の高エコーを認めます。

膿瘍等を考えます。

と記入し、Drには電話で、膀胱に接してますが由来がわからなかったことを報告📝

 

他院へ紹介され、重複直腸内膿瘍と診断されました。

 

他院では初回エコー検査で、膿瘍ではなく便塊と判断されているようなので注意です!

2回目のエコーで、膿瘍の大きさの割に腹水やリンパ節腫脹など 周囲への炎症所見が目立たないと記載されてました。

 

CT:膀胱背側に4×5㎝大の膿瘍あり。下腸間膜動脈の背側にあり腸管由来の可能性あり。

 

MR:骨盤正中に5㎝大の腫瘤を認める。MR上は膿瘍や腫瘍を疑う信号で膀胱の背側に位置しており、仙骨とは距離がある。子宮は腹側に圧排されている。両付属器、直腸との関係は不明。

 

注腸造影:腫瘤本体は造影されず類円形の透瞭像。直腸の背側、仙骨の腹側に位置しており上部腸管を左腹側へ圧排し腸管は狭小化。後腹膜>腹腔内に位置しており、体表からの穿刺は困難。

 

CS:肛門縁から4㎝の部位に粘膜の発赤と中心に瘻孔を認め、同瘻孔から膿瘍腔へ連続している。さらに3㎝口側にも粘膜腫脹し中央に陥凹を伴う病変あり。膿瘍腔内壁は粘膜様に見える

 

術式:腹腔鏡補助下経肛門的重複直腸切除術

 

直腸重複症は約4500出生に1人と比較的稀な疾患で、中でも大腸型は15%と頻度が低く本症例のような直腸での手術報告は非常に少ないということでした。

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膀胱背側の膿瘍