らぴゅたった

解像度が低いエコー機械でも…

大腸癌の肝転移。転移性肝腫瘍のエコー像。

""前立腺肥大の有無"" でエコー検査依頼

今回は泌尿器科から、腹部エコーの依頼です。

最近調子は良いと言われてましたので自覚症状は特にないことになります。

膀胱内に小さな隆起性病変を認めました。前立腺の肥大は見られませんでした。

 

膀胱腫瘤が気になったので、泌尿器以外の領域も観察しました。


肝転移

肝臓に腫瘍を見つけた時に悩むことは

肝細胞癌HCC?・転移性肝腫瘍??。。。ですよね💦

肝細胞癌の80%以上が肝硬変を合併。肝細胞癌の90%以上が肝炎ウイルスに感染。ということなので、カルテや本人から情報収集📝

 

 

動画では、肝内に高エコーの腫瘤を多数認めます。背景肝は肝疾患はなく綺麗な事、腫瘤が複数あり、高エコーであることから腸管からの転移かなぁと考えました。

 

≪胃癌・大腸がんの肝転移は腫瘤が大きくなるにつれ「低~等エコー」から「高および混合パターン」へとなり、辺縁低エコー帯を認めることが多い。後方エコーは不変なものが多い。

大腸癌の肝転移では腫瘍が大きくなるにつれて境界は粗い凹凸を呈する。≫((φ(・д・。)ホォホォ

 

ということで、大腸の観察を行いました。

 

 


大腸がん

 

大腸癌ができやすい部位は直腸とS状結腸で、全体の約70%を占めるとの事なので、

下降結腸からS状結腸を重点的に観察。。。S状結腸に壁肥厚を認めました。

 

大腸ファイバーで生検し病理提出し大腸癌と診断されました。

自覚症状がなくても高齢、糖尿病の方は定期的に検査を_(._.)_

 

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大腸癌

転移性肝腫瘍

・肝臓は肝動脈と門脈の二重支配を受けているため、血行性転移は大腸・直腸・胃・膵臓からの門脈性肝転移と。。。腎・乳腺・肺・甲状腺・子宮・卵巣・膀胱・皮膚などからの経動脈性肝転移とに大別される。他、リンパ行性・直接浸潤。

壊死を伴うことが多く、比較的早期から中心壊死などの所見が見られる。

(HCCと違い、よそから引っ越してきたので肝になじめず、大きくなればなるほど壊死や炎症がつよくなる)

・腫瘤が大きくなると、外周に低エコー帯が見られることが多い。(HCCのハローは線維性の被膜に相当するが、転移性腫瘍には明らかな線維性の被膜構造は存在しない)

石灰化は直腸癌や胃癌などの消化器系の粘液産生性腺癌の転移で生じやすが、甲状腺髄様岩や肺癌、乳がん、腎癌、卵巣癌などでも認められることがある。

化学療法で石灰化が生じることもある。

・消化器系の腺癌(胃癌・大腸癌・膵癌・胆嚢癌・胆管癌)からの転移は壊死部に繊維成分を伴うことが多い。繊維成分の豊富な壊死部が肝表面に存在すると癌臍を形成し肝表面が陥凹する。

 

 

 

 




 

 

 

 

副腎ってどこに見えますか?聞かれて。血圧が高い。高血圧。

エコーをとり始めて間もない頃、正常とは違うことがわかっても、具体的にどんなところが、どのように…Ҩ(´-ω-`)?とわかるようになるまで時間がかかってました。

小児科があるので、小児の腹部エコーを検査する時が一番ドキドキしてました。件数もそんなになく、いつもは成人を検査してたので小児の腹部は未知の世界の印象でした。

そんな時に出会ったのが神経芽腫。大きな腫瘍でした。大きさを計測することしかできませんでした。。。。

どこ由来か?性状はどのようなものか?何が考えられるか?検査後に必死に調べても、検査中にしか得られない情報もたくさんあるので、知識を持って検査することはとても大切です🍀

大病院で症例がたくさんある、頼れる先輩や先生がいる施設では大丈夫でしょうが、クリニックや今から少人数でエコー検査をしていくような施設で働いている人は不安がいっぱいですよね💦

 

 

今回は副腎ってどんな風に見えるのですか?と聞かれたので副腎の画像になります。

副腎は腎臓の上に位置する小さな三角形の臓器で、左右一対ずつ腎臓の上の後腹膜にあります。

右副腎は肝臓、腎臓(右)下大静脈に。左副腎は脾臓膵臓、腎臓(左)、腹部大動脈に囲まれています。約5㎝、5gほどの大きさで、腫大がないとエコーでは発見が難しいです。実際見えていても、副腎??かもねーって思ってますw

とても大切な臓器なんですけどね…🍀

 

本にのっている解剖などの図でみると、腎臓の上にのっかてる感じですが、やや背中側にあるので腎臓から離れたところに描出される時もある印象です。腎臓の長径を写真にとって満足してたら見落とすかもですw

腫大してくると肝臓の腫瘤と間違わないように注意です⚠️

 


右副腎腺腫

肝臓とエコーレベルも実質も近いですよね💦

 

 エコーレベルが高くなると、肝血管腫と間違えないように⤵︎ ︎

 


骨髄脂肪腫

骨髄脂肪腫は非上皮性の腫瘍で、脂肪と骨髄成分を含みエコー検査では高エコーの腫瘤として描出されます🍀

 

肺癌、胃癌、大腸癌、肝癌など血行性転移をきたいやすい腫瘍のフォローでは副腎への転移がないかチェックも大切です。*˙︶˙*)ノ"♡

今度、左の副腎も探しときますww

 

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副腎腺腫

 

 【副腎】

外側にある皮質と、内側にある髄質があり、それぞれからホルモンが分泌されます

皮質ステロイドホルモン(コルチゾール・アルドステロン・DHEA)

   アンドロゲンを分泌

コルチゾールはストレスから体を守り、糖や血圧を正常に保つのに重要で、コルチゾールの過剰分泌および日内変動の消失により、高血圧・中心性肥満、肩のこぶ・多毛・皮膚が薄くなる・血管壁がもろくなり内出血ができやすくなる。などの症状が引き起こされます。精神的にも鬱傾向になることが知られています。

アルドステロンは塩分、カリウム、水分のバランスを保つのに重要な役割をします。

 

髄質:カテコールアミン(ドーパミン・アドレナリン・ノルアドレナリン)を分泌

非常時に血圧を上昇させたり、心臓から血液を送り出す力を強めたり、エネルギー源としてブドウ糖を血中に増加させたりする働きをします。

 

 

副腎に腫瘍があり、ホルモンが過剰に分泌されるかどうかで、機能性副腎腫瘍と非機能性副腎腫瘍に分かれます。 

 

原発性アルドステロン症

副腎腫瘍によるアルドステロンの過剰分泌により、ナトリウムが過剰に蓄えられることで高血圧が引き起こされます。またカリウムの排泄が多くなり低カリウム血症になることもあります。カリウムが不足することで筋力が落ちたり、つりやすくなるなどの症状がでることがあります。

高血圧患者さんの約10%に見つかると言われてます

良性の腺腫が原因になることが多いそうです

 

 

・副腎性クッシング症候群

副腎皮質からコルチゾールが過剰に分泌され、高血圧や糖尿病、骨粗しょう症などを引き起こします。下垂体腫瘍が原因の場合はクッシング病と言います

 

・アジソン病

慢性的にコルチゾールが出なくなった状態で、唇や爪の周りの色が黒くなり、体重減少、食欲不振、集中力の低下、脱力感、低血圧、低血糖などの症状が見られる。

 

 

副腎と関係のある腫瘍

 

・褐色細胞腫:副腎髄質や傍神経細胞に発生する腫瘍。腫瘍の発生原因は不明。カテコールアミンの過剰分泌を呈する疾患で多くは良性腫瘍です。約10%ほどに骨・肝などに転移する悪性褐色細胞腫もあります。

症状は、高血圧・高血糖代謝亢進・頭痛・発汗過多・頻脈・不整脈・起立性低血圧・過呼吸など多彩です

 

神経芽腫小児がんの一つで体感の交感神経節や副腎髄質などから発生する腫瘍で約65%が腹部。その半数が副腎髄質で頸部や胸部、骨盤腔などからも発生します。悪性度の高いものから自然に退縮していくものまで様々です。

 

 

 

血尿が出た。膀胱腫瘍のエコー像

膀胱は腹部の下にあり、腎臓で作られた尿をためておく臓器です。

蓄尿機能と排尿機能があり尿路上皮(移行上皮)という粘膜でおおわれています。

膀胱癌の90%以上が尿路上皮癌で、まれに扁平上皮癌や腺癌の場合があります。

 

腹部エコーのルーチン検査の依頼時にはどの臓器まで見てますか?

私の施設では、肝・胆・膵・脾・腎・膀胱・前立腺(婦人科)・腸管です。

膀胱は尿が溜まってたらよく観察することができるので、普段確認されてない方も是非描出してみてください\( 'ω'  )/

 


膀胱腫瘍

 

膀胱内に隆起性病変を認めます。

カラードプラを何となくかけてみましたw

病変部に小石灰化の様な高エコーが見られ、カラーはクラッタによるアーチファクトと思われます。

表在性乳頭状膀胱癌になります。

 

膀胱腫瘍が大きくなると水腎症の原因にもなります。

⇊こちらは右腎の水腎症の原因で、尿管の拡張も見られます。

 


72M膀胱

初期には無症状でも、これくらい大きくなってくると多くの症状が出てきます。

小さいうちに発見して治療へ。。。(*ᵕᴗᵕ)ウンウン

 


72F膀胱

こちらは、内科のルーチンでたまたま発見した乳頭癌になります。

無症状でも膀胱を描出するだけで腫瘍が目につくので、いつものルーチンに5秒ほど膀胱を描出する時間を。。。

また、患者として腹部エコー検査を受けるときは、尿をある程度ためておく事が大切です〜*˙︶˙*)ノ♡

 

最後⇊膀胱内の血腫です


膀胱血腫

 

【膀胱がん】

筋層非浸潤性(表在性癌・上皮内癌)筋層には浸潤していない癌

表在性癌はカリフラワーやイソギンチャクのように隆起し突出しています(乳頭癌)。エコーでしっかり見ておきたい癌です。

通常、治療はTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)で行われます。

表在性癌は膀胱内に再発しやすいという特徴があります。

 

上皮内癌は上皮内膜が癌化した状態です

膀胱粘膜壁に沿って癌が存在しているため、エコーでは確認できないことがほとんどです。腫瘍の範囲が不明なことが多いため、結核予防ワクチンであるBCGによる膀胱内注射療法を行うことがあります。副作用として発熱、血尿、頻尿、排尿時痛、倦怠感、敗血症、肝障害、アレルギーショックなどがあり、免疫状態の低い方、重度な結核患者の既往がある方には禁忌です。

 

 

筋層浸潤性癌 

膀胱の筋層に浸潤した癌。膀胱壁を貫いて、壁外の組織に浸潤したり、リンパ節や肺・骨に転移を来す危険性があります。

転移性癌

膀胱がんが転移しやすい臓器は、リンパ節・肺・骨・肝臓などがあります。

 


膀胱癌の症状は肉眼的血尿が最も一般的な症状です

頻繁な尿意。排尿時痛。膀胱炎症状を来すこともあります。

60歳以上の男性に多く、リスク要因は喫煙です。(女性の3倍)

その他の要因としては、ナフチルアミン・アニリン色素フェナセチン含有鎮静剤・シクロホスファミド・ベンジシン・アミノビフェニルへの暴露。

(染料や化学薬品を扱う職業、ゴム・皮革・織物・色素工場で使用する化学物質)

放射線治療の際の膀胱への被爆

などがあるそうです。

 

エジプト、ナイル川流域では、ビルハルツ住血吸虫症がリスク要因である可能性が高いと言われているそうです。懐かしの寄生虫学💦終宿主の膀胱静脈叢に寄生します。

 

膀胱壁は内側から

尿路上皮(移行上皮)粘膜➝粘膜下層➝筋層➝漿膜といった層構造です。

膀胱癌の約90%以上が内側の尿路上皮粘膜から発生します

 

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膀胱癌

 

新型コロナ(SARS-CoV-2)抗体検査キットが届きました

3月に注文していたコロナの抗体検査キットがようやく届きました~✨

新型コロナウイルス抗体試薬キット

今回うちで採用させていただきましたのはクラボウさんのIgM抗体のキットです🍀

10検査入りで、標準価格25,000円

検体として、血清・血漿・または全血が使えます。

検体量は10μで専用のスポイドがついています。

検査は検体添加後に検体希釈液を2滴添加し15分後に判定という流れです。

貯蔵方法は2~30℃で保存とのことなので、うちでは室温で保管してます。

 

新型コロナウイルスSARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(イムノクロマト法)
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先日承認された抗原検査よりも検査の際にウイルスを浴びる可能性が低くなることが利点ですかね…笑

 

他にも抗体検出キットとして極東製薬株式会社からカナダArtron製の抗体検出キットの販売のお知らせがきてました。

こちらも検体は血清・血漿・全血が使用でき検査時間15分でIgM・IgGの両方の有無を調べることができます。

25検査入りで22,5000円。。。。。高いwww。一検査9000円 (꒪д꒪II


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抗体といえば普通、IgM抗体が感染後すぐに陽性になり、IgG抗体はIgMが落ち着いたころから上昇し 治癒後も長く陽性が続くため 感染初期を知るにはIgM抗体を調べますが、国立感染研究所から出された文章にはIgM抗体の検出率は低く、IgG抗体のみ陽性となる症例が多いと書かれていました。

 

5月13日に厚生労働省より抗原検査も承認されたので、そのうち 私の住んでる田舎の病院にもインフルエンザのように短時間で検査結果がでるキットが普及するはずです。

PCR法と抗原検査では100倍以上のウイルス量の違いがあるそうなのでPCR検査には かなわない感じですが、どちらの検査も検体が適切に採取されたかに大きく影響する事には変わりないかなぁという思いです。

抗原検査キットは富士レビオ株式会社から「エプスライン」SARS-CoV-2が販売され30分の判定時間で結果が出せます。

このカセットには検体採取後に、基質パット(展開液)である凸部を押し液を展開させますが、この凸部を押すのを忘れる人がたまにいますwwww。皆さんもほかの事に気を取られ忘れないように注意してください。

抗原検査保険点数600点で承認されています。

インフルエンザ検査のように簡単に検査できるのは嬉しいですが、検体採取時にウイルスへに汚染され、いろんな人が危険にさらされてしまいますね💦

隔離室で防護服を着たままずっと検査担当になるのは想像したくない。。。

また寒い季節が来る前に、ワクチンや特効薬が開発されてることを願っています。普通の風邪やインフルエンザになった時でも、コロナと同じ発熱外来で待機。って考えると嫌ですよね💦

 

免疫力アップして乗り越えましょう~*˙︶˙*)ノ❤

 

 

 

不明熱・腹痛・発熱。肝膿瘍のエコー画像

寒い季節も終わってようやく私の大好きな気候へ🍀

この時期、田植え後の田んぼを見るのが大好きです🐝

一度、お庭でペットボトルに田植えしたことがありますww

少ししかお米にならなかったですが。。。(*ノД`*)タハッ

 

 

今回は肝臓の腫瘤です。

肝腫瘍のなかで、悩ましいのは転移性肝腫瘍などいろいろありますが、今回も悩ましい腫瘤像。

初検査では見落としてました。。。と

2回目の検査で動画を保存してくれてました。

84歳、女性

持続する不明熱でエコー検査依頼


肝膿瘍

肝左葉に境界不明瞭なやや低エコー領域として描出されます。

後方エコーは増強?してるかな

後日、穿刺のときに私が担当しましたが、前回よりも少しわかりやすくなってました。

⇓静止画ですがww

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肝膿瘍。肝左葉

肝膿瘍は右葉側に好発しますが、今回左葉側だったのと、まだ壊死が進んでなかったようで無エコー化してなく鑑別が困難でした。

 

次は右葉側。。。

61歳 男性


肝膿瘍2

cystic patternで後方エコーの増強もよくわかります。

 

 

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肝膿瘍2

54歳 女性


肝膿瘍3

肝表面に見られてので高周波プローブで内部を観察することができました。

ドロドロした感じが膿瘍っぽい。。

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肝膿瘍3

肝膿瘍のエコー像は成因や病期により様々で

肝実質との境界不明瞭。辺縁部やや高エコー。後方エコーの増強などがあります。

周囲は、ぼんやり明るい印象です。

経時的変化としては

solid pattern:膿瘍が成熟しておらず、内部は高エコー。腫瘤との鑑別が困難

  ⇊

mixed pattern:境界不明瞭な高~低エコー領域

  ⇊

cystic pattetn:音響増強効果を持たない無エコー域とその周囲実質の高エコー

と変化していきます。

 

自覚症状と一緒に考えるほうが膿瘍を疑えそうですw

 

単純CTでの肝膿瘍は辺縁不整の低吸収領域。内部に膿汁があれば強い低吸収域と、炎症波及による周囲の軽度低吸収域が見られます。

 

不明熱での検査依頼の時に、肝膿瘍も念頭において検査してみてください~*˙︶˙*)ノ♡

 

 

【肝膿瘍】

肝臓に膿瘍が形成された感染性の病態

自覚症状としては、発熱・悪寒・腹痛・吐き気・嘔吐などがあります。

白血球やCRPの上昇、軽度肝障害が見られます。

 

細菌性(化膿性)

・胆管炎に引き続き発症

・腹腔内の感染症や腸管感染症に続発し門脈をへて肝内へ

・外傷、肝損傷部に感染を起こし生じる

・悪性腫瘍の治療後        など。

リスクファクターとしては、糖尿病・肝移植・免疫抑制(化学療法やHIV

 

起因菌として多いのは

Klebsiella pneumoniae:海外渡航・糖尿病・腹腔内感染・悪性腫瘍

Klebsiella pneumoniaeは肝膿瘍内に液面形成が見られることがあります。ガス産生菌なのでガスを伴うこともあります。

Escherichia coli:糖尿病・胆道系疾患

Enterro coccus spp:糖尿病・腹部外科手術・悪性腫瘍

細菌性肝膿瘍は、敗血症、細菌性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)に移行することがあるので、早期の発見と治療が大切です。

抗生剤とドレナージでの治療がおこなわれます。

 

アメーバ性

赤痢アメーバの経口感染で、アメーバ腸炎の約5%に発症する門脈を経由して肝内に到達し膿瘍を形成する。赤痢アメーバが生息する海外への渡航者に多くみられる。

同性愛者(男性)に発生することも報告されている。

肝右葉に比較的大きな(10㎝ほどの)1個の膿瘍を形成する。

アメーバ性肝膿瘍では、メトロニダゾール(フラジール)を投与

診断には血清抗体価を調べるのが有用です。

 

 

 

 

 

 

 

 

体がだるい。発熱。悪性リンパ腫。肝転移。脾臓のML

田舎の病院なので、ご近所のおじいちゃん、おばあちゃんが朝早くから来院されて受付で楽しそうにお喋りされてます🍵。

「そういえば、最近あの人こないねぇ!大丈夫なんやろうか?具合悪いんやか?」

という突っ込みどころ満載の可愛い会話も最近コロナのおかげで聞けてませんw

 

 

毎月病院に行ってるから大丈夫。と定期受診されてる人からたまに耳にしますが何科にかかってるかにもよります🍀

 

今回は 糖尿病で毎月通院されている80代男性

倦怠感が数カ月続いていたようで、主治医に相談するも"所見に乏しい"との事で数ケ月様子見…別の医師に相談したところエコー検査を受けることになりました。

 


ML1

肝内に低エコーに腫瘤をいくつか認めます

後方エコーは増強。形状不整。

胸水も見られます。動画にはないですが血流もしっかり確認でき膿瘍ではなさそうです。なんだろう??とずっと見ててもわからないので、他の臓器へ。。。


ML2

 脾臓~大動脈周囲の動画です。

脾臓は ごつごつ。。なんかクロワッサンみたいな形に。

左腎嚢胞も描出されてます。

自分では何かわからなかったので、画像診断医の先生を呼んで一緒に見てもらいました。

「ML???かなぁ」

オオォォォ(゚ロ゚*)(゚ロ゚*)

それを聞いて腹部大動脈の周囲を観察すると、ごつごつごつごつ。とリンパ節腫大が見られました。

腹部全体を観察してからその所見は何か?と考えるのが近道なのかな。と思えた一例でした。

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ML

悪性リンパ腫(malignant lymphoma)】 

悪性リンパ腫は血液細胞に由来する癌の一つで、白血球の一種であるりんぱリンパ球が癌化した病気です。主にリンパ節(頸部、腋下、鼠径)・脾臓扁桃腺・眼窩などのリンパ組織に発生しますが、それ以外にも多く発生します。体のあらゆる臓器に発生する可能性があり、発生した部位により症状が異なります。

正確な診断・治療を行うことで根治させる可能性のある疾患です。

 

エコー所見は極端なエコーレベルの低下が見られるので、ゲインを上げ内部を評価し、カラードプラで血流を確認します。嚢胞かな?とすぐ判断せずにカラードプラで確認することが大切です。後方エコーは増強します。リンパ節門は転移性のものに比べ保たれているので、カラードプラの見え方も違ってきます。

 

動画の最後のほうに、大動脈周囲のリンパ節腫大が描出されてます🐣floating aorta signと言われる、脊椎から離れた腹部大動脈のことで、腹部大動脈が予想される位置(男性では脊椎の前縁から10㎜以内・女性では7.3㎜以内)より腹側にみられる所見のことです🐣画像ではそこまでないですが…超音波検査士の試験で~サインとよく出ますので頭の片隅にでもw

採血では、LDH・IL-2の上昇が見られます。(ホジキンリンパ腫、低悪性度リンパ腫では上昇しないことがある)


初期症状では首や脇の下、足の付け根などのリンパ節に 痛みのないしこりとして現れることがあり、症状が進行すると発熱や全身の倦怠感、体重減少、皮膚の赤み、腫れ、かゆみ、嘔吐、盗汗(顕著な寝汗)など様々な症状が出てきます。

悪性リンパ腫がほかの臓器や器官へ広がると、それぞれの転移先特有の症状が出現します。

肺や気道などの胸部では呼吸困難や気道閉塞、咳

肝臓では黄疸

骨では骨痛など

悪性リンパ腫はがん細胞の形態や性質によって約70種類以上に細かく分類されています。

大きくは、ホジキンリンパ腫・非ホジキンリンパ腫の2つに分類されています。

日本では欧米と異なりホジキンリンパ腫は少なく、多くは非ホジキンリンパ腫です。はっきりとした原因はわかってないため、確実な予防法はありませんが、定期的な検査で早期発見をすることが大切です。再発しやすく、別の病型に変わって再発することもあるので、寛解した後も定期検査が必要です。

 

 

 

 

尿が出にくい。頻尿。前立腺肥大・前立腺癌のエコー像

男性の排尿障害の原因の一つに前立腺肥大があります。

今回は前立腺について🐣

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前立腺

前立腺は膀胱の下・恥骨と直腸の間にあり、尿道を取り囲んでいます。

一部は直腸に接していて、直腸の壁越しに指で触れることができます。

なので外からは見えません。エコー検査は前立腺を簡単に確認できる検査になります。

大きさは、栗やクルミほどの大きさと表現されることが多く約20(ml・㎠・g)ほどです。

 

私は、前立腺の大きさをグラム標記で所見に記入してましたが、受付の可愛い子がその所見をみて、「なんて過酷な検査をあの暗闇の部屋でされてるんですかぁ💦」と…(꒪д꒪II

前立腺を量りの上にのせて毎回量ってると思っていたそうですw😂😂

前立腺が体のどこにあるか説明しておきましたw

もちろん、そんな事はせず、エコーで体表から観察します笑

 

エコーでは膀胱の下に前立腺が描出されるので、膀胱にある程度の尿が溜まっていると観察しやすくなります。

とはいえ我慢の限界!!ほど溜まってると逆に見え辛くなるので、ほどほどの尿量が理想的。。

 

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前立腺

画像の黒く抜けてる所が膀胱で、尿が溜まっています。

計測してる部位が前立腺になります。

約80㎤ほどの大きさになります。計算は機械がしてくれますが、簡単には3か所の数字をかけ算して✖0.53をしてます。

上の画像だったら、5.0×5.7×5.3×0.53=80

球体の体積の省略式になります✨✨

 

前立腺肥大症は疾患としての定義が明確ではなく、ガイドラインには"前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害"を呈する疾患と書かれています。

エコーでは肥大がないのに"前立腺肥大症"と疾患が記入されてるときもありますよね👀

 

前立腺のエコー検査では、大きさ・形状・左右対称か・内部エコーはどうか?を評価してます。

動画は前立腺癌のエコー所見です。

71歳、排尿困難にてエコー依頼

倦怠感。肘、肩甲骨痛あり。

 


前立腺癌

前立腺は大きく、形状は不整で膀胱側・精嚢側への浸潤が疑われます。

前立腺のエコーレベルも低~高と不均一です。

前立腺癌の転移の約80%は骨で、なかでも背骨、骨盤、大腿骨の転移が多いと言われています。

MRにて右精嚢腺に進展する前立腺癌と骨転移と診断されました。

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前立腺

 

次は前立腺肥大のエコー像です

84歳。排尿困難にてエコー検査依頼

 


前立腺肥大

かなり大きく径6.4㎝✖8.1㎝✖5.4㎝で148㎠でした。

左右非対称で膀胱側への突出が著明でした。

何年もフォローしてましたが、生検や細胞診での悪性報告はなかったです。

膀胱には毎回残尿があり、尿沈渣でも桿菌が常に見られました。

 

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前立腺肥大

 

前立腺

前立腺辺縁領域(peripheral zone:PZ)・中心領域(central zone:CZ)・移行領域(transition zone:TZ)・前部線維筋性間質(anterior fibromuscular stroma)からなります。

内腺:移行領域と中心領域

外線:辺縁領域

一般に良性の前立腺肥大症は移行域から発生し、前立腺癌の約70%は辺縁領域から発生するそうです。

 

 

【臨床的な前立腺肥大症】は、前立腺腫大・下部尿路症状・前立腺性下部尿路閉塞の3要素により構成され、加齢などによる膀胱平滑筋の収縮障害や尿道の知覚神経の興奮などで生じると言われています。

合併症として、尿閉・血尿・膀胱結石・尿路感染症・腎後性腎不全などがあります。

前立腺による尿道抵抗(閉塞)には前立腺腫大による機械的閉塞と、平滑筋の収縮による機能的閉塞があり、膀胱内に尿が充満していにも関わらず、尿が出せないという苦しい状態になります。

尿閉前立腺肥大が高度なほど起こりやすく、飲酒・服薬が要因として高頻度との事。

また尿を我慢しすぎたり、胃カメラを行う前に胃の動きを止める注射(ブチルスコポラミン臭化物)が尿閉を引き起こすことがあると言われています。

 

血尿前立腺肥大のために、尿道粘膜の充血が起こり、前立腺部の尿道粘膜から出血して血尿が出やすくなります。

 

膀胱結石・尿路感染は膀胱内に常に残尿があることにより生じやすくなります。

 

また、溢流性失禁といって膀胱に尿が充満している状態で少しずつ溢れてしまうこともあります。

膀胱緊満により腎臓から膀胱への尿の流れが妨げられ、水腎症や腎機能障害が起こります。

 

前立腺癌】

一般的に50歳以降に発生し、加齢とともに発症率は増加します。

前立腺癌の腫瘍マーカーとして、血中PSA前立腺特異抗原)の測定検査が有用です。PSA前立腺に特異的な蛋白質で精液の安定化の役割として一部は血中に流れています。

PSAは非常に敏感な腫瘍マーカーといわれ前立腺癌の早期発見に必須です。

また癌の局所伸展や転移と相関し、治療効果の判断に有用です。

 基準値は4ng/ml以下で、4~10ng/mlは"グレーゾーン"です。

正常値よりも高値だからといって必ずしも前立腺癌であるとは限りませんので他検査で精査してください。

 

早期癌前立腺癌の約70%は外腺部(辺縁領域)から発生するため、早期癌では無症状です。内腺部(移行領域)に発生した場合、尿道を圧迫し排尿困難、頻尿、残尿感、夜間頻尿、尿意切迫感、下腹部不快感などの症状が認められることがあります。

 

局所進行癌:癌が尿道、射精管に浸潤することで、血尿などの症状が認められることがあります。

 

転移癌前立腺癌は進行するとリンパ節、骨(特に胸腰椎、骨盤腔)に転移しやすく、下肢のむくみや下半身麻痺を起こすことがあります。

 

前立腺癌の病期分類(TNM分類)は少し複雑で、T:原発腫瘍。N:リンパ節転移。M:遠隔転移。によって癌の進行度を分類します。

 

T:原発腫瘍

T1:触知不能、または画像診断不可能な臨床的に明らかでない腫瘤(T1a~T1c)

T2:前立腺に限局する腫瘤(T2a~T2c)

T3:前立腺被膜をこえて伸展する腫瘍(T3a~T3b)

T4:精嚢以外の隣接組織に固定、または浸潤する腫瘍

N:所属リンパ節

N0:所属リンパ節転移なし

N1:所属リンパ節転移あり

M:遠隔転移

M0:遠隔転移なし

M1:遠隔転移あり

 

ヨーグルト好きな人は前立腺肥大になりやすいって聞いたことがありましたが、全然関係なさそう💦笑笑

腹部エコーする時に、ついでに前立腺も観察してみてください👋✨